top of page
2019_PCP_cover_picture_v1_lower.jpg

時計転写ネットワーク

 植物の時計は多様な生命現象が発動する時間帯を制御しています。葉の角度、花弁の開閉、葉の気孔の開閉、細胞の伸長などは概日時計の制御を受けています。またマイクロアレイやRNAseqなどの解析によって、ゲノムの大半の遺伝子が時計の影響を受けていることも知られています。昼間に葉緑体でつくられる光合成産物のデンプンは、夜間に糖に分解されますが、この分解に関わる遺伝子群は夜になると発現されはじめます。

 時計遺伝子の多くが転写調節因子であることから、わたしたちは時計転写因子の「直接的な標的」遺伝子をゲノムワイドに決めることを目指しました。ChIPseqを中心とした研究に取り組むことによって、PRRファミリーの直接的な標的遺伝子たちを見出すこと、すなわちPRRファミリーの制御する転写ネットワークを記述しました (Nakamichi et al., PNAS 2012)。また別の時計転写因子CCA1の制御する転写ネットワークも同様の手法で解析しました (Kamioka et al., Plant Cell 2016)。

​ シロイヌナズナで発見された時計転写ネットワークは、他の植物種でも保存されているのでしょうか?わたしたちは、アーカイブ遺伝子発現データを利用することで、PRR転写ネットワークが部分的にイネやポプラにも保存されていることを示唆しました (Toda et al., Sci Rep 2019)。また実験によって、イネとナズナのPRRでそれぞれ異なるはたらきも見出しています(Nakamichi et al., BBB 2020)。

bottom of page